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テロワールを尊重したワイン造りが生み出す質の高いシャンパーニュ
フランス ランス メルフィにある様々な土壌タイプの畑からのワインをブレンドすることでメルフィのエッセンスを昇華させ、シャルトーニュ・タイエが根差す地を総合的に表現したシャンパーニュ。 リンゴの蜜のふくよかさとさわやかさを思わせるエレガントな香りが心地よく、旨みとして感じる細やかなミネラル感と果実のジューシーさに富むアタックが感じられます。ハチミツやバターのふっくらとしたボリュームに加え、長期熟成の複雑さ、そしてアフターのフレッシュさが全体のまとまりを良くしています。高く広く華やかに感じられるのは、砂を多く含むメルフィのテロワールならでは。キュヴェ名はメルフィの守護聖人サンタンヌにちなんで名付けられました。
1683年にブドウ栽培家として創業、1960年代にシャンパーニュ造りを開始したシャルトーニュ・タイエは家族経営でブドウ栽培から醸造まで自社で一貫して行う、レコルタン・マニピュランです。樹齢の高い区画を尊重し、収量を制限。収穫時には厳密な選果を行い区画ごとに醸造を行うなどテロワールを尊重したワイン造りにより、質の高いシャンパーニュを生みだしてきました。シャルトーニュ・タイエが位置するのはランスの北西に位置するメルフィという小さな村です。今でこそ知名度は低いものの、18世紀にはヴェルズネイやアイなど現在のグランクリュの村と同等の最高ランクの価格でブドウが取引されていたという歴史を持つクオリティの土地です。砂質をベースとした土壌のおかげでフィロキセラ(害虫)からの被害もそれほど大きくありませんでしたが、ランスの街やモンターニュ・ド・ランスの村々を一望できる高台にあることから20世紀の2回の世界大戦では戦略的要地となり、ブドウ畑は徹底的に破壊されました。1950年代にようやく畑が再建され始めたましたが、その頃にはかつての栄光とワイン造りがすっかり失われてしまいました。 蔵の新しい時代を担うアレクサンドル・シャルトーニュはメルフィのシャンパーニュの力を取り戻そうと奮起します。彼が考えるこの地の利点は『土壌の多様性』でした。過去に同等評価されていたグランクリュの村の土壌がほぼ粘土とチョークで構成されているのに対し、メルフィは砂質を主体に海抜によって砂岩、粘土、石灰と様々なタイプの土壌が混ざり合い、チョークの下層土を厚く覆っています。クオリティに関する歴史的根拠が確かで、同じ村でもブルゴーニュのように区画ごとのテロワールがこれほど多様な土地は滅多にないのです。アヴィーズのジャック・セロスという偉大な土地の偉大な生産者の下で修業を積んだアレクサンドルはこの優位性を実感し、2006年に蔵に戻ると先代以上にメルフィのテロワールを表現したシャンパーニュ造りに取り組みました。
土壌は空気や光よりもブドウの樹に多くの要素をもたらすと言われることから、除草剤を使用せず、野草を取り除き土に空気を含ませるために畑を鋤き耕しています。畑に負荷をかけないように、耕作用に馬を飼い、最新の物よりも重量が軽い年代物のトラクターも購入し、馬や機械が入れないほど樹間の狭い畑は人の手で耕すという念の入れよう。また土壌の多様性を詳細に把握するために、専門家クロード・ブルギニヨンに土壌分析を依頼します。どの畑にどんな品種を植えても育つので、多くの栽培家が土壌と品種の適合性まで考えない中、土壌の組成と品種との相性を知ることで新たな植樹の助けとしています。 彼は、ヴィンテージの出来やブドウの取引について18世紀の初めから代々絶えることなく綴られていたシャルトーニュ・タイエの家長の日記から優れた畑を割り出し、古い文献から昔のメルフィではブドウの樹1本につき4房までしか実をつけさせなかったことを知り、現在では普通20房もの実を得るところを最大でもその半分以下に収量を抑えました。さらに、自根で密植されていた当時のスタイルの畑も復活させたます。他にも日当たりを良くしてブドウの熟度と糖度をあげるため、他の生産者の畑より30cm長くブドウの枝を切ったり、ベースワインの発酵には畑の土壌によってステンレスタンク、タマゴ型のコンクリートタンク、バリックを使い分けるなど様々な工夫を凝らしています。 細かな違いがひとつひとつ積み重ねられた彼のワインは、先代の頃に増してミネラル感豊かで土地のエネルギーに溢れています。テロワールの追求の集大成ともいえる単一畑のシャンパーニュは国内外の評価誌から大きな関心を集めており、1983年生まれの探究心の塊のようなこの若者に世界中から熱い注目が注がれています。
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